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偏向ヨーク・フライバックトランスの生産自動化に貢献してきた技術事務所が贈る
テレビが映るわけ1:電子銃、偏向ヨーク、シャドウマスク
ここで記載する内容は、メールマガジン「ICL Crystal Collaboration」過去に掲載された内容です。
順次、本ページ上でさらに分かりやすくビジュアルにまとめて参る予定です。
テレビの画像や音声の信号は電波に乗って私たちの家庭にやって来ます。
このことは、物がコンベアに載せられて運ばれて来ることをイメージして頂ければいいかと思います。
載せられた物が目的とする信号で、コンベアは単なる運び屋の役目をしています。
ここで、電波は電界と磁界が直角の関係を保ちつつ回転しながらやってくることは以前お話しました。
このことを考えると、一般的な普通のコンベアではなく、筒の中のらせん状に巻いた羽根が回転しながら物を運搬するスクリューコンベア(主に粘性のある流動物や粉末物の運搬に使います。汚泥や土などと言えば分かり易いでしょうか)によって運ばれて来るイメージの方がピッタリかもしれません。
電波においては、この運び屋の役目を果たすものを搬送波と呼びます。
この搬送波に紛れ込ませて目的の画像や音声の信号が送られて来ます。
この紛れ込ませることを変調と呼び、映像と音声ではその方式は相違します。
詳しくは個別に述べて参る予定です。
私たちの家庭のアンテナで受信した後は、この変調波から目的の信号を取り出さなければ見ることが出来ません。
この作業を検波・復調と呼びます。
ここまでは簡単な説明で終わり、本題はテレビ内部に取り込まれた信号がどのようにして映像として再現されるかを今回は中心的に書かせて頂きます。
先ず、ブラウン管なのですがこれには3種類あります。
ここで説明する型はSONY以外の一般的な方式でシャドウマスク型と呼びます。
SONY社はトリニトロン管とクロマトロン管という方式を採用しています。
分かり易くするために箇条書き方式で説明して参ります。
ブラウン管フェースプレート部(私たちが見ている画面の部分)には赤・緑・青の蛍光体が規則正しく塗布されています。
この蛍光体の1セットをドットトリオと呼び正三角形に配置されます。
このドットトリオの各色の発光具合をコントロールすることで目的の色が再現されます。
ちょうど、絵の具を混ぜ合わせてお好みの色を作るのと同じことです。
ドットトリオをどうやって発光させるか?それは、ドットに電子を当ててやればよいのです。
そして電子の強さを変えれば発行具合は変わって来ます。
この電子はどこから出てくるのか?
これが、電波で送られてきた映像信号に合わせて電子を発射させる部分、即ちその名も電子銃と呼ぶ部分になります。
各色の混ぜ具合をコントロールしなければなりませんから当然、赤、緑、青専用の電子銃が各1本ずつ有り、これがブラウン管のネック部(一番後ろの細くなった部分)に正三角形に配置され仕込まれています。
ヒータでカソードと呼ばれる部分が加熱されて電子が発射されます。
後部のあの細いネック部に仕込まれた電子銃から、私たちの見ているフェース部に電子を当てる?
どうやって・・?
電子はそのままでは直進します。
画面の隅から隅まで走査(後述)しないことには画面が再現出来ません。
ここに、私が深くその生産に関わってきた偏向ヨーク(Diffarntial York)と呼ぶ部分が活躍します。
ラッパ状をしたコイルで水平偏向コイルと垂直偏向コイルとから成り立ち、ブラウン管のファンネル(コーン型をした部分)のネック側に仕込まれています。
電子銃から発射された電子はこの偏向ヨークの中を通過します。
この偏向ヨークは均一な磁界が得られるようになっており、のこぎり型の信号電流を与えることにより、電子ビームを走査の方向に準じて曲げていく働きをします。
これは取りも直さず、「磁界の中を電子が流れると力を受ける」という原理に基づくもので、皆様高校で習われたと思いますが、フレミングの左手の法則に拠った動きを実現させている部分です。
テレビの歴史はこの偏向ヨークの歴史と言っても過言ではありません。
私が関わった巻線技術の進歩は磁界の均一化に大きく貢献しました。
「偏向角を大きく取れば奥行きスペースが短くて済む」そんな昔の夢もすでに現実となり、今では110度偏向のブラウン管も多くなりました。
次に大切なことは、電子が偏向によって走査されるのはよいけれど電子銃と蛍光面の間に何も無ければ、いくら偏向されたとはいえ一つの電子は到達した周辺にあるドットトリオを全て刺激してしまい、どの電子はどのドットトリオに当たるべきかなどということにはお構いなしになってしまい意味のある画像にはなりません。
一つの電子は対応したドットトリオに当ててこそ再生が出来るわけです。
ここで重要な役割を担うのが、シャドウマスクというドットトリオに対応した沢山の穴があいた鉄のプレートで蛍光面から約10mm手前に仕込まれています。
偏向ヨークで軌道を曲げられた電子はこのシャドウマスクの穴上で、赤、緑、青が1点に集中します。いや、されるように配置されているのです。
このことをコンバージェンスと呼びます。
即ち、2)で述べた赤、緑、青専用の電子銃各1本ずつはお互いに平行なのではなくシャドウマスク上で1点に集中するように傾けられているわけです。(約1度の傾き)
そのように配置されていると言っても調整は必要不可欠で、コンバージェンス調整と読んでいますが、カラーテレビで最も面倒な調整作業になります。
とにかく、ここで集中し通過した後、約10mm後ろの蛍光面には各色に対応したドットトリオをがおり、そこをめざして突進するというわけです。
実際には一つの電子ビームは3〜4個のシャドウマスクの穴にまたがる大きさですので、3〜4組のドットトリオを照射することになります。
電子が対応するドットトリオに当たることをランディングと読んでいます。
当然、調整不良や加工不良により赤のドットに当たるべきが緑のドットに当たるなどの事態は発生します。
これをミスランディングと呼びます。
基本的にはここまで記載した原理によって、皆さんがこのマガジンを読む時の目の動きと同じように受信した信号を左上から右下に向かって電子ビームを送られてきた順番通りに偏向させていけば画像は再生するわけです。
この動きを走査と呼び、右に文字を読んでいく動きに相当するものを水平走査、改行して下の行に動く走査を垂直走査と呼び、これらが同期しながら行われているのです。
日本の通常のテレビは、水平走査を525回繰り返して一つの画面が再生されるというものです。
これを1回の走査としますと、1回の走査は私たちが525行の文章を読む時の動きをしているというわけですね。
これを順次走査(プログレッシブ方式)と読んでいます。
ただ、実はこの当たり前の方式は周波数を高くする関係上あまり採用されていませんでした。
今回のBS放送のデジタル化はこの順次走査方式をより採用しやすくするというメリットがあるということを頭に置いて頂ければいいかと思います。
もちろんこの順次走査方式の方がチラツキが少なくなるのは文字を順番に読むのが分かりやすいのと同じことなのですから画質にとってはとてもメリットのあることなのです。
実は、従来までの放送は実際にはこれとは違った少し変わった動きをしています。
信号周波数には限度があるからなんです。
これは別の機会に分かりやすく説明したいと思いますが、信号の周波数はドットの数即ち走査線の二乗に比例します。
与えられた時間を半分に分けて、走査線の数を分割して送ろう!
そうすれば周波数は1/2で済むじゃないか!
最初に奇数行だけを読み、終わると上に帰って今度は偶数行を読むという動きなんです。
これを飛越走査(インターレス方式)と呼びます。
これが、映像信号の周波数を高くしないで、出来る限りチラツキ(フリッカー)を抑えるための最良の方式だったというわけなんです。
ただ時間が1秒で1画面分の走査するのであれば、左上の画像と右下の画像の時間的ズレが大き過ぎて意味のある画像にはなりませんね。
すなわち、私たちが視覚的に映像として認識出来るようにするために、1/30秒で1画面の走査が終わるようにしてあります。
すなわち1秒に30駒の映像が切り替わることによって私たちは動いた映像を、さも同時に映っているかのように見ることが出来るのです。
10)で示したように実際には、従来の飛越走査は1/60秒で半分を走査し、残り1/60秒で歯抜けの残り半分を走査するという形でこれを実現していたのです。
この走査線の数が多いほど緻密な画像が再現されます。
人の顔が見分けられる為には200本必要だと言われています。
風景画はっきりする為には500本以上必要と言われています。
現在日本では、通常のテレビは525本の走査線、ハイビジョン放送では1125本あります。
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